里親インタビュー#3 Oさん
里親になろうとしたきっかけを教えてください。
夫は長年海外途上国の子どもたちへの支援を行っていて、社会貢献に意識が高い人でした。ある時、私が公民館から持ち帰った里親制度のチラシを夫に見せたところ、夫が強く興味を持ち、ぜひやりたいと言い、すぐに児童相談所に連絡をしていました。そのままとんとん拍子に研修を受けることになり登録に向けて動き始めてそれに引っ張られるように私も動いていきました。登録後、最初はふれあい里親として夏休みなどに兄弟を受け入れることから始めることにしました。約2年間ふれあい里親として活動したころ、当時3歳の男の子とのマッチングが始まりました。
里親を始めるとき、ご家族など周りの反応はどうでしたか?
実子が3人いましたが反応はそれぞれでした。長女は成人していて仕事があり、長男は大学で家を離れていたりして初めはあまり関心がない様子でした。当時小学生だった次女は弟が出来たととても喜んでいて、よくお世話をしていました。子どもたちはそれぞれに反応は違いましたが里子を弟として素直に受け入れていたと思います。同居していた義母も家族として受け入れてくれていました。そんな家族に私の方が教えられることが多かったと思います。
はじめて子どもを迎えたときの思い出はありますか?
当時3歳の子どもと施設で初めて会った時に、ちょこんと私の膝の上に座ってくれたことを覚えています。一緒に暮らし始めた頃、子どもは喘息やアトピーがあり、夜寝る前に毎日吸入などのケアをしていました。夜暑さで寝苦しい時に、子どもが寝ながらゴロゴロと自分で涼しい場所へ動いていて、朝起きたら寝る前と違う場所ですやすや眠っている姿を見てかわいかったです。里子の子育てでは立場が逆転し、夫が率先して関わっていて、お弁当作りや保育所の送迎、学校の参観日など担当していました。私はPTA関係や習いごとの送迎などを担当し、夫と役割分担しながら養育をしていきました。
実際に里親になってから感じたことはありますか?
里子が小学校に入学する前、忘れられない出来事がありました。たまたま学校のグラウンドで知り合いの野球部の監督や部員たちに会った時のことです。監督からみんなに「大田◇◇ くんです」と里親の苗字で紹介されました。子どもの名字を間違えて呼ばれたことに私は戸惑い、修正すべきか迷いました。その時、里子がみんなの前で「大田家でお世話になっている△△◇◇です」と自分の苗字と名前を堂々と伝えました。この言葉を聞いて、この子の心持ちに感動し、それと同時にこの子をこれから本当にしっかり受け入れていかなければという覚悟ができた瞬間でもありました。
子どもとの生活の中で嬉しかったことはありますか?
子どもはわが家に来る前に過ごしていた施設を「ぼくの実家」と言って、よく遊びに行きたいと言っていたので、夫がたびたび連れて行っていました。自分が育った施設を大切にする気持ちが素敵だなと思っていました。それが、小学校低学年の頃、「乳児院にはもう来ません」と宣言し、それ以降は「行きたい」とは言わなくなりました。彼の中で自分の居場所は今暮らしているこの家だと思えるようになったのかなと思いました。
子どもとの関係の中で大切にしていることはありますか?
子どもの成長に合わせ、周りに自分たちの関係をどう伝えるか、その都度確認しながら変えてきました。名前のこと、里親自身の呼び方のことなど本人と話し合いながら気持ちに寄り添ってこちらが合わせるようにしていきました。また、地域や関係機関とつながり、コミュニティの中で子育てをすることを大切にしてきました。次女は里子のことを一番近くで見てきてよく関わってくれました。自分が小学校を卒業するときの担任の先生に「来年は弟が入学するからよろしく!」と話してくれていました。その先生が教頭先生、校長先生になって同じ学校で里子のことをよく見てくださいました。キーマンとしてずっと関わって下さり一緒に成長を喜んでもらえたことは心強かったです。また、サッカークラブや公民館の教室などにも積極的に行って顔を知って覚えてもらったことで助けてもらったことも多くありました。
里親制度の重要性はどのように考えていますか?
心が育とうとしている0歳~3歳の間の愛着形成がとても大切だと思っています。親元で暮らせない子どもの愛着形成を身近で一緒に生活しながら作っていくことができるのが里親だと思います。心が育つ基盤としての人への信頼感、安心感をしっかり作っていくことが出来る里親制度がもっと広がっていけばいいなと思います。また、自立後の子どもにとっても、里親家庭は血のつながりはなくても家族としてずっと続いてい く絆をつくることができるのではないでしょうか。
里親になることを考えている方へメッセージをお願いします。
いろいろな形の里親があり、サポート体制も充実してきています。様々な個性、人間性を持った里親がその方の状況に合った形で活動できればいいと思います。縁あってやってきた子どもと一緒に、その方たちなりの家族の形を作って行けばよいと思っています。
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