里親インタビュー#2 樋上さん

里親になろうとしたきっかけを教えてください。

こどもに関わる仕事をしていて、こどもが大好きだったんですが、なかなかこどもを授かることができませんでした。不妊治療をしていた頃、病院の待合室でとある里親制度の記事を見かけました。里親制度のことは知っていましたが、こういう選択肢もあるんだなと考えるようになったんです。社会問題にもなっている児童虐待のニュースを目にしたりして、自分たちにできることがあるのかな、と夫婦で話しあって里親になることを前向きに考えました。

里親を始めるとき、ご家族など周りの反応はどうでしたか？

夫も私の考えを理解してくれたので、夫婦での意志はすぐにまとまりました。親戚にも話をして、少し心配だったようですが、私たちの考えを尊重してくれて後押ししてもらうことができました。それから里親について詳しい話を聞きに行こうとこども家庭センターへ行ったら、年に2回の登録審議会の前のとても良いタイミングで、長期での養育を希望していたので、養子縁組里親として委託を受ける話が進んでいきました。

はじめて迎えた時の思い出はありますか？

2人の女の子を受け入れるために、施設に毎日のように通ってコミュニケーションを取りました。最初は私たちに対して「誰だろう？」という様子もあって、時間になったらさっさと帰っていくので寂しいなと思ったんですけど、会うたびに、まだ帰りたくないような素振りや、喜んでくれる様子が見られるようになったんです。その変化がとても嬉しかったです。

実際に里親になってから感じたことはありますか？

こどもに関わる仕事をしてきたので、ある程度子育ては大丈夫かなと思っていたんですが、実際にこどもたちとの生活が始まると、想像以上でした（笑）。当たり前のことですが、24時間こどものことを考えないといけないので、最初の数カ月は必死に子育てをしていました。こどもたちも施設から家庭に来て生活の変化に慣れなかったのか、体調を崩すことが多くて、どう対応して良いか不安になることもありました。でも大変さ以上に、2人ともとても可愛くて、楽しさとしんどさが両方とも倍以上になった感じですね。私たち夫婦も、仕事を中心とした生活からこどもを中心にした生活に変わっていきました。

こどもたちとの生活のなかで、嬉しかったことはありますか？

特別なことではないけれど、何気ない毎日が楽しいですね。一緒にご飯を食べたり、お風呂に入ったり、寝たりすることが幸せだと感じます。楽しそうに遊んでいる2人の様子を見ているだけでも嬉しくなります。絵を描くのが好きだったり、歌が上手だったり、色々な発見が毎日あるので、とても面白いですね。

こどもとの関係のなかで大切にしていることはありますか？

素直に話をすることを心がけています。こどもの言葉に対してしっかり受け止めて、できるだけ要求には応えるようにしています。初めの頃は、こどもたちが実親のことを話していたんですが、その話もしっかり聞きました。どのくらい理解しているのかはっきり分かりませんが、私たちとの関係も話をしています。隠しごとのない親子の関係が大切なんじゃないかなと思います。

里親制度の重要性はどのように考えていますか？

家庭で一緒に過ごすことで、こどもにとって大事な経験ができると思います。安心できる場所があることで、こどもたちも大きく成長できる機会も増えるので、里親の委託が広がって、こどもたちの居場所が増えていけば良いなと思います。私たちも最初は不安でしたが、こども家庭センターのサポ―トがしっかりしていたので助かりました。専門の先生からアドバイスを受けて、親子の関係を深めていくことができましたし、また子育てを頑張ろうという気持ちになれました。

里親になることを考えている方へメッセージをお願いします。

今考えても、里親になって良かったことの方が多いです。不安な時期もありましたが、最初は里親じゃなくても子育ては手探りですし、子育てを始めて世界が広がりました。こどもと一緒に私たち夫婦も育っていくんだなと思いました。里親制度の利用に迷われている方がいたら、しっかりしたサポートもあるし、専門家に相談することもできるので、まずは話を聞きに行ってほしいと伝えたいです。血の繋がりがなくてもこどもを育てて、親子の関係を築くことができますし、毎日が大変ですが（笑）、楽しい生活を送ることができると思います。